ガモウスタジオは「みんなのアトリエ」です。
子どもたちには、自主的に物事を考える時間を。
大人の方は、趣味や創作に没頭し何かを達成する時間を。
スタッフが子どもたちと接するときに大事にしていること。
ガモウスタジオは美術教室や絵画教室とは一味違う教室です。
なので、あまり「美術教室」や「美術スクール」などと言いたくありません。
言うなれば、「美術空間」であったり、「美術な場所」にニュアンスは近いのです。
ここは教わる場所でもなければ、良い作品を作るためだけの場所でもありません。
私たちがそのように考える経緯をお話しさせてください。
学校や習い事は、受動的に物事が進みます。
学校に行けば、宿題をやれ!だとか、これは〜をしなければいけない!だとか
先生や、お母さんお父さんに言われて初めて、子どもたちは判断し行動します。
自身が本当に心の底からやりたい!ことを、基本的に好きなだけさせてもらえません。
ガモウスタジオではそんな受動的な世界から、
美術を通して子どもたちを解放する場所です。
美術は1から10まであらゆる「ジャッジ」に迫られます。
自分の完成イメージに対して、まずは道具選び、色選び、材料選びなど、
誰かに指定されない純粋な選択に溢れています。
また作品の途中に関しても、自身の設定したゴールと作られたモノを照らし合わせて、
あーでもない、こーでもないと想いを張り巡らし、
修正を重ね続け、ようやく形になってきます。
自分の頭で考えて、能動的に何かを実現する力。
公園でもろくに遊べないこんな時代だからこそ、
その子がどのような分野やジャンルに進もうと、自主的に考え、行動する力を
小さいときから身につけてほしいと願ってやみません。
失敗しても、大人から見て意味不明な作品を作っても、それが美しくなくても、
誰になんと言われようが、自分で決めた事に対して無我夢中で作った作品は、
子どもたちにとって強い自信につながると信じています。
また、ガモウスタジオでは完成を強要せず、
よっぽどのことがない限り、作るものを限定しません。
来室したら何を作るかはまずじっくり考えてもらい、
それでも出ない場合はスタッフが本当に作りたいもの、
気になってるものを引き出すためコミュニーケーションをゆっくりとります。
その時にスタッフが心がけていることは作るものを限定せずに、
ただ提案をし、可能性を広げることです。
例えば、道具の使い方を教えてみたり、材料はこんなのがあるよ、という具合に
まずはどんなことができるのか、可能性を提示します。
子どもたちが考える想像力の世界は、大人には太刀打ちできません。
例えばリンゴのような絵を描いていたとしても、その子のとっては毒リンゴかもしれませんし、
食べたら魔法使いになるリンゴかもしれません。
そこで私たちが容易に、「リンゴ」という名詞をつけてしまうと、
その子にとってみれば魔法使いになるリンゴから
「ただのリンゴ」にその絵が成り下がってしまうかもしれません。
その子がもしリンゴの絵を描いていたら、スタッフは「私はリンゴに見えるけど、
これはどんなリンゴなの?」などと、もしその子がただのリンゴを描いていたとしても、
想像力の可能性を引き出す作業を行います。
どんな小さなイメージもまずは広げてあげることが大切だと感じます。
もしかすると、子どもたちが作る作品は大人の方から見ればガラクタかもしれませんし、
形になっていないものばかりかもしれません。しかし子どもたちにとってみれば
よく考えてアクションを起こした軌跡であるし、れっきとした作品です。
例えばガモウスタジオで、1時間も夢中になって粘土をこね、
時々色をつけて、それで帰ってしまう子がいます。
しかしそれもその子にとってはその1時間そのものが作品であり、
24時間のうち誰にも邪魔されない気持ちを整理する大切な1時間です。
できた作品に関して、私たちは過剰に褒めたり、または過剰に批判したりしません。
その子の作品の想いやストーリーをまずはゆっくり聞きます。
もちろん基本的には褒めたり驚いたりというプラスのアクションをとりますが、
過剰にやりすぎると、そのできた作品の作り方や色合いやストーリーそのものを、
これはたくさん褒められたから、また次も同じことをしよう、同じことをすれば
また褒められる、という褒められるために作る作品になってしまいがちです。
それでは、作品の動機そのものが変わってきてしまいます。
美術に正解やルールは存在しません。ルールは自ら作るものです。
また、過剰にしかることやマイナスの言葉も同じことが言えます。
子どもはひとりで生きていけないため、大人の注目をたくさん集め、
たくさんの味方をつけるために行動しがちです。
泣けば大人が注目する、悪い事をすれば大人が注目するなど、
子どもはあらゆる手で大人の目線を我が物にしようとします。
そこでたくさん過剰に褒めたり、過剰に叱る行動は、
子どもたちにとっては本心とはずれた行動になりかねません。
もちろん、人に危害が加わるようなことは目を見てしっかり叱ります。
その時は「ダメ!」ではなく、なぜダメなのかを説明し、そのやってしまった事柄に対して、
別のやり方で実現できることはないか、提案します。
完成よりもプロセスを。
習うよりも、考えることを。
コミュニケーションで想像力をかきたてる。
それが行える環境を整えることが、私たちスタッフの最大の役目です。
スタッフが大人の方と接するときに大事にしていること。
大人の方は何かを実現できる場所としてガモウスタジオは機能しています。
新しい趣味作りに。同じ毎日のルーティーンから脱するために。
仕事に使うスキルアップに。1日の出来事を整理する時間に。
現役の東京芸術大学生とコミュニケーションをとるために。
絵がとにかく上手になりたい方に。
大学受験や専門学校に入学するための技術を習得するために。
いろんな画材に触れ、美術全般を体験したい方に。
青春時代にできなかったデッサンや油絵を学ぶために。
どのような達成したい事柄も、実現できるように心がけています。
スタッフ自身の位置付けや考え方
私たちスタッフは先生や講師ではないという認識がとても強いです。
ディズニーランドのスタッフをを例にとってみれば、おそらく最も大切にしていることは
「みなさんにディズニーランドをただ楽しんでいただく」ことに他なりません。
私たちも美術をとことん楽しんでいただけるように、
生徒の上に立つようなニュアンスの「先生」や「講師」などの
言葉をあまり使わないようにしているのも、そのためです。
常に美術でどんな楽しい事ができるのか?という問いを
考えながら日々皆さんと接しています。